2014年10月20日月曜日

『Flight of the Sparrow』と『乞食の子』

最近読んだ本2冊。

1冊目は『Flight of the Sparrow: A Novel of Early America 』。


主人公のMaryは初期にイギリスからアメリカに渡ってきた清教徒。牧師の夫と4人の子どもたちと暮らしていましたが、イギリス人とアメリカ先住民(インディアン)との抗争がひどくなり、ある日夫の留守中にインディアンに襲われ、捕らわれてしまいます。3ヶ月後に身代金と引き換えに元の生活に戻るのですが、実はMaryはインディアンの自由な生活が気に入り、窮屈な元の生活には戻りたくないと思っていたのでした。

これは実際にあった話を元にして書かれた小説で、このMaryという人はその時の体験を後に本にして出版しています。そちらのほうは読んでいないのですが(図書館とかにあるかな?昔の英語で書かれていて私には理解できないかも?)、この本は小説なのでMaryの心情などはフィクションと思われます。

でもとても興味深かった! 男女平等や子育ての方法、奴隷制度についてなど、いろいろと考えさせられる本です。インディアンのことや奴隷制度のこと、もっと知りたいと思います。

実は我が家のPは(ということはつまりうたこも)ネイティブインディアンの血が少し入っています(お母さんの曽お婆さんだか何だかに一人います)。Pのお母さんとお兄さんは正式にその部族として認定を受け、インディアンの名前ももらっています。その点からも個人的に興味あります。

毎年Thanksgiving(感謝祭)のシーズンになると小学校からプリマスプランテーションに遠足に行くことが多いですが、今年もうたこは今月末に行きます。家族でこれまで2回行ったことがあり、前の学校からも2回行っているので、今度で5回目。初期のイギリスからの植民者、そして当時のインディアンの生活ぶりを再現してあり、とても興味深いところなので、まだ行ったことのない人はぜひ行ってみてください。私もこの本読んでまた訪れたくなりました。(以前行ったときのブログ記事はこちら→


もう一冊は『乞食の子』。


以前に出版翻訳の仕事をしたとき、言葉遣いについての注意をいろいろといただいて、その中で「乞食」というのは使ってはいけない言葉として挙がっていたと思うのですが……。衝撃的なタイトルなので目を引き、日本語学校の図書館から借りてきました。

台湾で物乞いの子として生まれた人の半生記です。お父さんは目が見えないために楽器の弾き語りなどをして施しを受けて生活をしており、お母さんは重度の知的障害があるのでこれまた仕事ができません。この人はその両親の2番目の子(上に姉がいる)として生まれ、幼いうちから両親と弟妹たちの生活のため、自分自身も物乞いに出て一家を支えます。屋外に寝たり、豚小屋で暮らしたりしながら10歳で始めて学校に入ります。学校のあと両親と幼い弟妹たちの世話、物乞い(10人分の食べ物をもらうのはとても大変)、そして夜遅くから勉強という日々を送り努力を重ね、今では工場長という地位を得て、結婚して家も構えています。

先ほどの『Flight of the Sparrow』でもインディアンたちが食べ物を探すのに苦労する様子が出てきて、私がいつも当たり前と思っていること(食べ物がいつもたくさんある、暖かい家があるなど)が当たり前でない人たちもいるのだということを改めて考えさせられました。(屋根のあるところで寝られない人たちもいるし、現代の日本やアメリカでもお金がなくて満足に食べられない人たちがいますね。)

よく「育ちがよい」とか「育ちが悪い」とか言いますが、この言い方、私はとても気になります。

以前、ちょっとだけ不定期に里子を預かったことがあり、「育ちが悪い」という言い方を聞くたびにその子たちのことを思います。小さいときから親に虐待されていたり、育児放棄されたりした彼女らはきちんとした家庭教育を受けているとは言えませんが、彼女らには何も非はないわけで、彼女らのことを「育ちが悪い」なんて絶対に言ってほしくはありません。(「育ちがよい」というのは褒め言葉なのでよいのかもしれませんが、私はそれでもその子らの顔が浮かんで切なくなるので、その言い方も好きではありません。)

この進(ジン)さんも乞食の子としてさげすまれ、結婚のときにも猛反対されます。貧乏な(貧乏の範疇を超えているくらいに貧乏)家に生まれて幼い時から働かなければならないだけでも大変(これも大変という言葉で言い表せないくらいに大変)なのに、さらにそのことで人からさげすまれたりののしられたり。踏んだり蹴ったりもいいとこですね。

またこの点でも先の本とかぶります。「だってあいつらインディアンなんだぜ」みたいな。「インディアンだから」「奴隷(黒人)だから」ひどい仕打ちをされても仕方ないなんて、現代の私たちからしたらおかしいのは当然ですが、今の私たちだって、程度の差こそあれ同じようなことをしているのではないか、じっくり考えてみたいです。

『乞食の子』は日本語学校にあるので(今週土曜日に返します)、日本語学校に行かれる方は読んでみてください。もっと努力して真面目に人生生きようと思わせてくれる本です。

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