2014年9月29日月曜日

Hidden Girl - 児童奴隷の実話

『Hidden Girl』という本を読みました。


エジプトの貧しい家庭に生まれ、8歳で裕福な家庭に売られ(先にこの家庭で働いていた姉が盗みを働いたとのことでその借金のかたに置いていかれた)、アメリカに移住したその家族と共にアメリカに密入国。カリフォルニアでまたメイドとして奴隷状態で働かされ、12歳近くになってようやく児童サービスに保護された女性の実話です。彼女は今では以前の彼女のように捕まっている人たちを助けるための活動をしています。(Huffpost Liveで彼女のインタビューを見つけました。→

売られたときの年齢が娘(7歳)と近いこともあり、学校にも行けず、医者や歯医者にも診てもらえず、食事は一日一回、ガレージに寝かされ、夜中まで働かされ…という彼女の置かれていた状況には本当に胸が痛みました。

娘が前に「昔じゃなくてよかった。昔だったら私は茶色いから奴隷で、ママは白いから(「黄色」人種なんだけど娘はその辺区別がついてない)別々になるところだった」と言ったことがあります。自分の娘だったら…と考えたらたまりませんね。

奴隷制なんて遠い昔の話と思ってしまいがちですが、実際のところ、現代でも奴隷状態に置かれている人は世界にたくさんいます。去年だったかな、教会にたまたま現代の奴隷解放活動に関わっている方が来てお話をされたことがあり、衝撃を受けました。アメリカでも農場などで奴隷状態で働かされている人たちがいると聞きますし、性産業もそうですよね。前に住んでいた国でもメイドさんの処遇があまりにもひどくて飛び降り自殺するケースとか新聞で読んだことがあります。

Huffington Postの「現代の奴隷労働」に関する記事(日本語)→

著者が助けられたICE(Immigration and Customs Enforcement:移民税関捜査局)の人身売買に関するページ(英語)→

UNICEFの児童売買に関するページ(英語)→

この本はヤングアダルト向けの本で、著者自身の英語スキルもあってか、とても簡単に読めます。人身売買の犠牲になっている人を救うために何ができるか(どんなサインに気をつけるべきかなど)についての著者のアドバイスもあります。彼女の場合もおそらく誰か近所の人が気づいて通報してくれたために解放されました。気づいて通報することが大事ですね。

今私が住んでいる環境の中で人身売買の被害者に遭遇する可能性は低いように思われるけれど、アンテナ張っておきたいと思いますし、実際に私が直接見聞きすることはなくても、世の中にはまだまだこういうことがあるのだと忘れずにおきたいと思います。


2014年9月11日木曜日

イギリスに移民多すぎ?

1ヶ月も前の記事ですが、ロンドン在住のクローデン葉子さんのブログ記事を転載したハフィントンポストの記事で見つけたBBCの番組がとても興味深かったので、ご紹介します。

Nick and Margaret Too Many Immigrants in UK Episode 1 BBC Documentary 2014



Nick and Margaret Too Many Immigrants in the UK Episode 2 BBC Documentary 2014


内容についてはハフィントンポストの記事(上にリンクあります)や元のブログ記事のほうに詳しい紹介がありますが、イギリスで増え続ける移民について厳しい意見をもつイギリス人5人と移民5人をペアにしてお互いの生活ぶりを知り、最後に自分が組んだ移民がイギリスにとってGain(利益)かDrain(損失)かをイギリス人が判断するというものです。

実際に移民の暮らしぶりを知ってみると、それまで反対していた人たちの意見がかなり変わってきます。特に2年間仕事がないと嘆いていたイギリス人の若者はフランスから来たカフェ店員の女性に逆に仕事探しの方法をアドバイスしてもらったりなんかして、自分はこれまで甘かった、って悟るところなど、ほんとおもしろかったです。移民の実際の仕事ぶりや生活を知らずに思い込みで「移民のせいで俺らの仕事がなくなった」と思っていたのですね。

また、ちゃんとしたデータではなく、人づての話や自分の思い込みで反対していた人たちも多かったです。データを見てみると、例えば移民の子の多い学校のほうが成績がよいとか(これはアメリカでは当てはまらないと思うけど)、一人当たりの平均医療費も移民のほうが少ないとか(若い人が多いため)、移民の犯罪率が特に高いわけではないとか、いろいろとわかってきます。

移民問題に限らず、不確かな情報や思い込みで判断してしまっていることってけっこうあると思うので、戒めにしたいです。

あとね、自分も移民の子なのに「移民多すぎる!」って反対してる人もいて、なんだかなあ~と思いました。

アメリカでは私自身も「移民」ですから、余計に興味深かったのかもしれませんが、日本もこれから労働人口が足りなくなって移民をもっと受け入れようかという話になっていると思いますので、そういう視点で見てみるとおもしろいかも。